空売りとは何ですか?

空売りは、株を借りてきて売ることから入り、株価が下がってきたところで買い戻して返済することにより、その差額で収益を得る方法になります。

例えば、100株借りてきて100円の株価で売却すると10,000円になります。
そして、株価が90円になったところで買戻して返済したとすると、9,000円の金額しかかかりませんので、その差額の1,000円が利益になります。

株価が下がることでも収益を得ることができますので、株価の上昇局面でも下落局面でもどちらでも利益を得ることができるようになります。この空売りは信用取引しかできませんので、信用口座を開設している必要があります。

けれども、注意したい点としては、リスクがかなり高いということです。株価が下がる際には上昇廃止の0円以下には下がりませんが、上昇する局面では際限がありません。寄らずのストップ高を連発するような買い材料が出た際には損失が大きく膨らむ可能性もあります。

これはいわゆる「踏み上げ」といわれていますが、追証がかかっても買い戻せないという場合、返済不能の借金を抱えることになり、1生かかっても返せない借金を抱えてしまうこともあります。資金にかなりの余裕があり、取引経験も豊富な投資家でないと、たった1回の失敗で全てを失ってしまう可能性もあります。

信用取引の「買いは家まで、売りは命まで」といわれているように、空売りのリスクはかなり高いものがありますので注意しましょう。

逆日歩とは何ですか?

この空売りにつきものなのが、逆日歩(ぎゃくひぶ)といわれているものです。
株を借りてくる際、まずは証券会社内での信用買いの分と相殺することで対応しますが、それでも不足している場合は、日証金から借りてくることになります。

この日証金は大株主などから借りてくることになりますが、株の調達が困難になりそうと予測される場合には、1日1株当たりいくらの貸し料金を支払って借りることになります。これが逆日歩といわれているものです。

たいていは最高料率の場合でも微々たる費用ではありますが、株不足が深刻化すると最高料率の10倍が適用されるケースもあり、株価の上下に関わらず、借りる費用だけで大幅な損失が発生してしまう可能性があります。

この料率については、通常、日証金のホームページで午前10時半ごろにチェックすることができますが、約定日ではなく、受け渡し日で土日に該当する場合などは3日分が適用されるケースもあります。また、土日も関係なく逆日歩は毎日かかりますので注意しましょう。

貸借倍率の見方

この信用買いと信用売りとの比率は、貸借倍率の箇所でチェックすることができますが、これは需給要因といわれているものです。信用買いが膨大に多ければ、下落しやすい傾向があり、逆に信用売りが膨大であれば、踏み上げをねらって買いが入るケースもあります。

けれども、仮に空売りが信用買いの10倍ぐらいあったとしても、株不足の絶対量が少なく、調達にも余裕がある場合には、逆日歩が付くケースはあまりありません。

また、株価が上昇する局面では、信用買いも合わせて両建てすることで、空売りでの損失を回避する方法がとられますので、すぐに貸借倍率も逆転してしまい、急落してしまうケースもあります。

概ね、低位株とよばれる新興市場の場合では踏み上げになるケースも多いですが、急激な上昇のあと、急激に下落することが多いですので、適正な価格で投資されることをおすすめします。

発行済み株数や浮動株数、そして大株主などの情報も調べ、何株あるうちのどのくらいの割合で空売りされているのか、また、株不足の調達には余裕がありそうなのかどうかをよくチェックしておくとよいでしょう。

日証金での貸借倍率の情報は空売りと信用買いの最終的な差額の部分しか出てきませんので、主な銘柄の信用取引残高については、こちらを参考にされるとよいでしょう。
東証 : 信用取引残高等

また、この空売りには強制決済の期限がありますので、半年程度の長期戦を覚悟しなくてはいけないこともあります。粘れば粘るほど苦しくなっていくことも、あるいはすぐに急落して買戻しができて助かるケースもありますので、適切な判断をされることをおすすめします。